注文住宅の中古は新築より安いけれど、実際のところお得なのか・自分のニーズに合っているのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと中古の注文住宅は、希望する条件によっては購入する価値が大きい物件と言えます。以下のとおり、新築にはないメリットが複数あるためです。
中古の注文住宅を選ぶことで、新築よりもリーズナブルな価格で、好立地の物件や条件のよい物件を手に入れることができます。住環境を事前に確認して購入できるのも、中古の注文住宅ならではの利点と言えるでしょう。
このように中古の注文住宅は魅力の多い物件ではありますが、耐震性能といった物件の状況や中古ならではの費用面についてポイントを押さえて確認しておかないと、結果的に費用が高くついたり、思いどおりの物件を手に入れられなかったりすることになりかねません。
例えば、中古の注文住宅を検討するなら次のようなデメリットを知っておく必要があります。
次のような人には注文住宅の中古購入が向いていると言えるでしょう。
このようなポイントを押さえて、中古の注文住宅とはどのようなものかしっかりと把握したうえで購入するかどうかを検討することが大切です。
この記事では、中古の注文住宅を検討するにあたって押さえるべき以下のポイントを解説します。
- 中古の注文住宅の特徴や活用方法
- 注文住宅の中古を選ぶメリット
- 注文住宅の中古を選ぶデメリット
- 注文住宅の中古が向く場合・向かない場合
- 注文住宅の中古を検討する際の注意点
上記の内容を把握しておくことで、注文住宅の中古について特徴を把握したうえで、自分のニーズに合っているのかどうかを適切に判断できるようになるでしょう。
住宅は大きな買い物です。自分の理想に合った家づくりに失敗しないためにも、注文住宅の中古についてポイントを把握しておきましょう。
1. 注文住宅の中古の特徴とは
注文住宅の中古とは、他の住宅と比べてどのような特徴がある住宅なのでしょうか。
ここでは、注文住宅の中古を検討する上で最初に押さえておくべき以下のポイントを解説します。
- 注文住宅の中古以外との比較
- 注文住宅の中古を購入した後の選択肢3つ
1-1. 注文住宅の中古以外との比較
中古の注文住宅には、新築の注文住宅や建売住宅といった他の一戸建てと比較し、次のような特徴があります。
上記を具体的にまとめると、各住宅には以下のような特徴があると言えるでしょう。
種類 |
特徴 |
注文住宅の中古 |
- 新築よりリーズナブルにこだわりのある注文住宅を購入できる
- 実物を見て購入できる
- 立地がよい物件を比較的低価格で手に入れやすい
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注文住宅の新築 |
- 中古や建売住宅より費用が高くなる傾向
- 完成するまで実物を確認できない
- 設計や設備の自由度が高い
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建売住宅の新築 |
- 注文住宅の新築よりリーズナブル
- 実物を見て購入できる場合が多い
- 間取りなどの選択肢は少ない
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このように、中古の注文住宅は新築の注文住宅と比較すると、リーズナブルに好立地を選べたり、実物を確認したうえで購入したりすることが可能です。また建売住宅よりは、オリジナリティあるものや堅牢なものを選ぶことができます。
注文住宅ならではのオリジナリティーある住宅をコストを抑えて手に入れたい場合や好立地の住宅であることを重視する場合は、注文住宅の中古を検討してみる価値があると言えるでしょう。
1-2. 注文住宅の中古を購入した後の選択肢3つ
注文住宅の中古を購入した場合の選択肢は、以下のとおり①そのまま住む、②リノベーション(リノベ)して住む、③建て替えるの3つです。
選択肢 |
特徴 |
①そのまま住む |
- もっともコストがかからない
- リフォーム済み物件の場合、リフォームしていない物件より購入価格が高くなる
- リフォームしていない物件の場合、築浅物件を選ばないと、使用感や劣化が気になる場合がある
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②リノベして住む |
- 建て替えるよりはコストがかからない
- 間取りは変更できないが、設備や内装は自分好みにすることができる
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③建て替える |
- 既存の建物を壊す費用と新築費用はかかるが、希望に合った立地にニーズを満たした家を建てることができる
- 間取りから自由に選択できるが、工期が長くかかるので、住み始めるまでに時間がかかる
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中古の注文住宅を検討する場合は、購入後にどのように活用するのかも念頭においておくことで、適切な判断ができるようになるでしょう。
2. 注文住宅の中古を選ぶメリット3つ
中古の注文住宅を選ぶことで、次の3つのメリットがあります。
注文住宅の中古を選ぶメリット3つ |
- 新築と比べてリーズナブル
- 完成物件を確認して購入できる
- 施工期間が短い
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一戸建てを購入するにあたって、注文住宅を中古で購入するとどのような利点があるのか、具体的に確認しておきましょう。
2-1. 新築と比べてリーズナブル
中古物件は、新築物件と比べて低い価格で購入することができます。築年数が増えれば増えるほど、価格が下がるためです。
東日本不動産流通機構の最新のデータによると、築年数と中古一戸建ての成約価格の関係は、以下のようになっています。
参考:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」
築11~15年では成約価格は3,955万円と築0~5年の4,557万円の8割程度に下がり、築21~25年では、当初の約7割である3,421万円まで下がっていることがわかります。
このように中古物件を選ぶことで、同じ立地条件や広さであっても、コストを抑えることが可能であると言えるでしょう。
築年数が経過すると価格が下がる主な理由は、内装や間取りがトレンドに合わない・構造部分や設備が古くなるなど、建物のさまざまな部分が古くなっているためです。
ただし築15年くらいまでは大規模な修繕をしなくても問題なく住めますし、築年数がある程度経過している場合であっても、気になる部分だけリフォームやリノベをすることで、新築同様の状態で快適に住むことができます。
立地などの条件を妥協せずにできるだけコストを抑えたい場合、中古物件はよい選択肢の1つと言えるでしょう。
2-2. 完成物件を確認して購入できる
完成後の物件の状態を実際に確認して購入できることも、注文住宅の中古を選ぶ大きなメリットです。
特に新築の注文住宅においては、実際の物件を確認して購入することができないため、完成した状態を想像して決める必要があります。
このような場合、いざ完成してみると、間取りや設備が使いにくかったり内装や外観がイメージと違ったり、という失敗が起こりがちです。
しかし注文住宅の中古の場合、実際の物件を確認できるため、自分のニーズに合った物件かどうか正しく把握することができます。
2-3. 施工期間が短い
注文住宅の中古を選べば、購入後リノベなどをする必要がない場合は、すぐにでも入居が可能です。リフォームをする場合であっても、多くの場合、数日から数週間で工事が完了します。新築の注文住宅を建てる場合4ヶ月程度は必要であることに比べれば、かなり短い施工期間で済みます。
工期が短くすぐに入居できることで、さまざまなコストを抑えることが可能です。現在の住まいが賃貸であれば、工期が長くなればなるほど家賃もかかってしまうでしょう。例えば、月々の家賃が15万円の場合、すぐに入居できれば0円で済む費用が、工期が4ヶ月かかると60万円も余計にかかってしまいます。
このように新築の注文住宅などと違って、購入してから入居できるまでのタイムラグが短いことも、中古のメリットと言えるでしょう。
3. 注文住宅の中古を選ぶデメリット2つ
さまざまなメリットのある注文住宅の中古には、デメリットもあります。
注文住宅の中古を選ぶデメリット2つ |
- 好みやニーズと合わない場合がある
- 修繕費用などを見込む必要がある
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デメリットの内容も具体的に把握し、注文住宅の中古を選ぶかどうか検討する際の参考としてご活用ください。
3-1. 好みやニーズと合わない場合がある
間取りや設備がすべて自由だからこそ、注文住宅の中古は建売住宅と違って、独創的な間取りや特殊な設備が取り入れられているケースがあることに注意が必要です。最初のオーナーと好みやニーズが合わない場合、かえって不便だったり快適さが損なわれたりするデメリットがあります。
例えば、プライバシー重視のオーナーがこだわって建てた窓が最小限の家の場合、採光と通風を重視したい人にとっては、かえって住みづらいと感じられるでしょう。
このように、注文住宅を中古で探そうとする場合、自分の求めるこだわりが反映された家に出会うのに苦労するという難しさがあります。
3-2. 修繕費用などを見込む必要がある
中古物件は新築より安いから検討しているという場合、新築では不要な修繕費用などが必要となる点に注意が必要です。
修繕費としては、例えば次のようなものが考えられます。
外壁の補修 |
外壁材の張替の場合、1㎡あたり7,000~9,000円程度が相場 |
傷みが気になる内装のリフォーム |
壁紙の張替の場合、6帖で50,000円程度が相場 |
古くなった設備の入れ替え |
浴室のリフォームをする場合、100~150万円程度が相場 |
また、不動産会社を通して中古物件を購入する際は、仲介手数料も必要です。仲介手数料の目安は、「物件価格×3%+6万円+消費税」となっています。物件価格3,500万円で中古の注文住宅を購入した場合、仲介手数料の目安は122万1,000円です。
このように中古物件では、物件自体の購入費用以外に、新築では必要のない費用も発生することを覚えておきましょう。
4. 注文住宅の中古が向いている人
注文住宅の中古が向いているケースは、次のような場合です。
注文住宅の中古が向く場合 |
- 好立地であることを重視したい
- リーズナブルに注文住宅を入手したい
- 新築にこだわらない
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上記のような場合に、なぜ注文住宅の中古が向いているのか、具体的に説明しますので参考にしてください。
4-1. 好立地であることを重視したい
中古の注文住宅の場合、好立地の住宅であっても、比較的リーズナブルな価格で購入できる場合があります。東日本不動産流通機構の調査によると、一般的な中古住宅の場合、築11〜15年では当初の8割程度の価格で、築21〜25年では当初の約7割程度で購入することも可能です。
そのため、駅から近くアクセスのよい場所がよい・人気エリアにこだわって探したい・近くに開発予定などがあり将来性の高い土地がよいなど、好立地を重視する場合に中古は最適な選択肢の1つです。土地目当てであれば、家が多少ニーズに合わなくても、リフォームなどで折り合いが付きやすくなります。
一方で、家を建てる場所にそれほどこだわりがなく、家自体の優先順位が高い場合は、中古の注文住宅の優先度は下がるでしょう。
4-2. リーズナブルに注文住宅を入手したい
注文住宅に憧れはあるけれど、予算の都合で少しでも費用を抑えたいという場合も、中古の注文住宅を購入するのに向いています。特に若い世代や子育て中などで、十分な自己資金がない場合は、中古を検討することで、予算内でも希望通りの家を買える可能性が上がるでしょう。
広さや間取り・ロケーションなどの条件が同じであれば、新築より中古の方が安く入手可能です。東日本不動産流通機構の調査によると、築11年以降の物件であれば約2割程度、築31年以降になれば5割程度も、当初より成約価格は低くなります。さらに売主が売り急いでいる場合などは、堅牢で条件のよい物件を相場より安く購入することも可能です。
一方で、新築を建てられる程度に資金が準備できる場合や、注文住宅に特に憧れがない場合は、敢えて注文住宅の中古を選ぶ必要性は低いと言えるでしょう。
4-3. 新築にこだわらない
新築物件にこだわらない人も、注文住宅の中古を検討するのに向いています。中古物件は新築物件と比べて多くの選択肢が存在するため、管理状態や土地の条件などが好みの物件に出会える可能性も高いでしょう。
東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2020年」によると、首都圏の戸建て住宅在庫数は新築が11,343件であるのに対し中古は17,923件でした。このように中古は新築の1.5倍以上の選択肢があります。
リノベ前提の場合も、注文住宅の中古はおすすめです。注文住宅は、住宅の基礎が堅牢に作られていて資産価値の高いものや、デザイン性の高いものも豊富なため、リノベする場合でもより満足のいく仕上がりになることが期待できます。
逆に、「最新設備を揃えたい」・「今のトレンドの間取りを取り入れたい」と考えている場合は、中古はおすすめできません。新築を建てた方が、コストを抑えて希望を実現しやすいでしょう。
5. 注文住宅の中古を検討する際の注意点
注文住宅の中古を検討する場合、新築とは異なるポイントに注意が必要です。
注文住宅の中古を検討する際の注意点 |
- 耐震性能や劣化状況を確認する
- 借入可能額や控除額に注意する
- 資金計画は購入後の修繕なども込みで考える
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それぞれ、どのようなところに注意が必要なのか、以下で解説します。
5-1. 耐震性能や劣化状況を確認する
中古物件の基本性能を正しく把握するために確認しておきたいのが、耐震性能と劣化状況です。
耐震性能を確認しておくことで、もし地震が起きても安心して暮らすことができますし、耐震性を強化する工事の要否も判断できます。また劣化状況を正しく把握することで、購入価格は適切か・今後の修繕費の資金計画をどうするべきかを、判断することが可能です。
耐震性能や劣化状況に関するポイント |
耐震性能 |
- 1981年に耐震基準が大幅に変更になっているため、1981年より後に建てられた物件であれば新基準を満たしており安心
- ホームインスペクションの結果があれば具体的な耐震性がわかるため確認する
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劣化状況 |
- シロアリ被害や雨漏り、配管のつまりなどは必ず確認する
- 現地を実際に確認することに加え、付帯設備および物件状況確認書・住宅履歴書などに目をとおしておく
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購入後に思わぬ補修費用が発生しないようにするためにも、耐震性能と劣化状況には注意しましょう。
5-2. 借入可能額や控除額に注意する
資金計画時に注意したいのが、中古物件は新築物件と比べて住宅ローンで融資が下りる額が少なくなる点と、住宅ローン控除の条件が厳しくなる場合があることです。
住宅ローンは、購入する建物を担保にお金を融資しています。そのため、担保である建物の資産価値が高ければ高いほど借入可能額も増えるわけですが、建物の資産価値は築年数が経過するほど下がり、一戸建てでは概ね20年でゼロになってしまいます。そのため、新築では難なく下りていた融資が、中古では下りにくくなってしまうのです。
また、住宅ローン控除を受けるには複数の要件があります。中古物件で注意したいのが、「木造住宅なら築年数20年以内、耐火住宅なら築年数25年以内」という要件です。築年数が要件を超えている場合、複数の証明書を提出しなければ控除を受けられません。
借入可能額や控除額に関するポイント |
借入可能額 |
- 築年数の経過に伴い建物の資産価値が下がると担保価値の評価が下がる結果、住宅ローン借入可能額も少なくなる
- 物件を契約する前に金融機関にどれくらいの融資額になるか確認する、頭金を準備するなどの対策を取る
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控除額 |
- 木造住宅なら築年数20年以内、耐火住宅なら築年数25年以内という要件がある
- 築年数が要件を超える場合、耐震基準適合証明書の取得・既存住宅性能評価書(耐震等級1級以上)の取得・既存住宅売買瑕疵保険への加入が必要
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5-3. 資金計画は購入後の修繕なども込みで考える
注文住宅の中古を購入する資金計画を考える際は、物件の購入費用だけでなく、購入後の修繕費用やリノベ費用なども含めることが重要です。
購入時は何の問題もない物件であっても、中古物件は築年数が経過している分、新築よりも早く大規模な修繕や設備の入替えが必要になります。
また、リフォームやリノベ前提で購入する場合、その見積もりを事前に取り、物件購入費用とリフォーム・リノベ費用の合計で予算を組んでおく必要があるでしょう。
広さや条件重視で予算をすべて物件購入費用につぎこんでしまうと、購入後や実際に住み始めてから資金計画が破綻してしまうため注意が必要です。
6. まとめ
今回は、中古の注文住宅を検討するにあたって押さえるべきポイントを解説しました。
最後に、この記事の内容を振り返ってみましょう。
中古の注文住宅の特徴は、次のとおりです。
中古の注文住宅の特徴 |
- 新築よりリーズナブルにこだわりのある注文住宅を購入できる
- 実物を見て購入できる
- 立地がよい物件を比較的低価格で手に入れやすい
|
また注文住宅の中古を選ぶメリット・デメリットには、以下のようなものがあります。
【注文住宅の中古を選ぶメリット】
- 新築と比べてリーズナブル
- 完成物件を確認して購入できる
- 施工期間が短い
【注文住宅の中古を選ぶデメリット】
- 好みやニーズと合わない場合がある
- 修繕費用や仲介手数料を見込む必要がある
注文住宅の中古が向く場合は以下のとおりです。
- 好立地であることを重視したい
- リーズナブルに注文住宅を入手したい
- 新築にこだわらない
また、注文住宅の中古を検討する際は以下の点に注意しましょう。
以上のような注文住宅の中古についてのポイントを把握し、自分の理想に合った家づくりを実現しましょう。