「注文住宅を建てるための土地を探したいけれど、どうやって探せばいいの?」
「土地探しで失敗しないためには、どんなところに注意したらいいのだろう?」
注文住宅を建てるための土地を探している人は、ほとんどがはじめて土地を購入する人ばかりです。土地購入は高額な買い物だからこそ、土地探しに関して不安を感じている人は多くいます。
土地探しに関する不安や疑問を解消するためには、土地探しをするために必要な事前準備や探し方、そして土地を探す時に考えたい条件などについて把握しておくことが大切です。
土地探しにつまずかないためには、効率よく土地探しをするために必要なコツや探し方など、土地探しをする際の大切なポイントを覚えておかなければいけません。
この記事では、土地探しで不安を感じて戸惑わないためにも、注文住宅を建てるための土地探しについて解説していきます。
この記事のポイント |
- 注文住宅を建てるための土地を探す4つの方法がわかる
- 効率よく土地探しをするために事前に準備しておくべきことがわかる
- 土地を選ぶ際に確認すべきポイントをチェックシートで調べられる
- 土地を探す際の注意点がわかる
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どのように土地探しを進めていくべきなのかわからなくなってしまうと、土地探しに時間がかかってしまい家づくりに対して不安を感じてしまいます。土地探しに関する不安や疑問をクリアにするために、正しい土地探しの方法やコツ、そして注意点について学んでいきましょう。
1. 注文住宅の土地探しをはじめる前に必要な準備
注文住宅の土地探しをはじめるためには、事前にどのような土地を購入したいのか希望条件や予算を決めておく必要があります。
計画を立てずに注文住宅を建てるための土地探しをはじめてしまうと、さまざまな土地に目移りしてしまい土地探しにかかる期間も長引いてしまう可能性があるのです。土地探しだけでなく、注文住宅の設計プランを同時進行していると、考えることが増えてしまい混乱してしまうかもしれません。
効率よく土地探しを進めるためには、事前準備が大切です。
- 土地に対する希望条件を決める
- 土地に対する希望条件に優先順位をつける
- 土地購入の予算を決める
土地探しで混乱してしまわないためにも、土地探しに必要な条件についてしっかりと考えておきましょう。
1-1. 土地の希望条件を決める
まずは、注文住宅を建てるための土地に求める条件を書き出してみましょう。土地に対する希望条件は、地域を限定する場合もあれば、土地の状態や周辺環境の場合も考えられます。
ここでは、最初に考えたい希望条件を「地域」と「環境」のふたつに分けて考えてみましょう。
地域の場合 |
環境の場合 |
- 職場に近い
- 公園や学校が多く子育てがしやすい
- 自然が多い
- 海が近くにある
- 通勤の沿線上
- 「住みたい街」として人気のある地域
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- 土地の高低差
- 土地の大きさ
- 土地の形状
- 大通りに面していない土地
- 最寄り駅までの距離
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土地に対する希望条件が見つからない場合は、将来どのような暮らしをしたいのかを具体的にイメージしてみてください。
必ずしもすべての条件に合った土地が見つかるというわけではありません。しかし、希望条件が少なすぎてしまうと、たくさんある選択肢の中から本当に住みたい土地を探すのに膨大な時間がかかってしまいます。
まずは、エリアや環境、そしてその他にもある希望条件を思いつく限り候補を挙げてみましょう。
1-2. 希望条件に優先順位をつける
注文住宅を建てる土地に対する希望条件をあらかた整理できたら、その希望条件に優先順位をつけていきます。
「すべての希望条件を満たした土地に家を建てたい」と考えてしまいがちです。しかし、理想が高くなりすぎてしまうと満足できる土地に出会える可能性も低くなってしまいます。
満足できる土地探しをするためには、100点満点の土地ではなく、十分満足できる70点〜80点の土地を探すのがオススメです。
土地に対して「妥協できない条件」と「妥協できる条件」の両方を探すためにも、すべての希望条件に優先順位を付けていきましょう。優先順位を参考にして、その中でも上位の条件を満たしてくれる土地を探すのがオススメです。
1-3. 土地の予算を決める
実際に土地探しをはじめる前に、土地を購入するための予算を決めておく必要があります。土地購入の予算を決めるためには、家づくり全体にかかってくる予算総額について考えなければいけません。
【家づくりの予算総額とは】
予算総額 = 土地購入費 + 建築費 + 諸費用
※諸費用は土地購入費と建築費それぞれに対して5%程度で計算する。
注文住宅を建てるためには、土地購入費だけではなく建設費用や諸費用が発生します。そのため、土地購入費だけではなく注文住宅の建築費用や諸経費についても調べておきましょう。
理想の家づくりについて考えた時、多くの人が「理想の土地を優先する」と「理想の建築を優先する」のふたつで悩んでしまいます。
- 理想の土地を優先する場合:土地購入費の予算を増やして、建築費を抑える
- 理想の建築を優先する場合:建築費の予算を増やして、土地購入費を抑える
土地と建築どちらを優先するのかを明確にして、家づくりにかかる予算総額をイメージしてみましょう。 「土地込みの注文住宅の予算はどのくらい?予算別の事例と費用相場を解説」では、土地代込みで注文住宅を建てる場合の予算相場と、予算別の家のイメージを紹介しているので参考にしてみてください。
2. 注文住宅を建てるための土地を探す方法
注文住宅を建てるために必要な土地に求める条件と予算が固まったら、希望する土地を探すためにさまざまな土地を探す方法を試してみましょう。
注文住宅を建てるための土地は、以下の4つの方法で探せます。
- インターネットを使って探す
- 住みたいエリアを実際に歩き回って「売地」 を探す
- 不動産会社に依頼して探す
- ハウスメーカーや工務店に依頼して探す
「ハウスメーカーだけに依頼して土地を探す」や「住みたい地域に売地看板が立つまで待つ」というように、土地探しの選択肢を限定してしまうと理想の土地には出会えません。
土地探しの選択肢を増やすためにも、この4つの土地を探す方法の特徴を理解しておきましょう。
2-1. インターネットで探す
インターネット検索を活用すると、自力で土地探しが可能です。
インターネットで土地を探す場合、検索サイトで「〇〇市 土地」や「〇〇市 売地」などのキーワードを入力して表示された検索結果から土地を探すのが一番簡単な方法です。
もしくは、不動産ポータルサイトや不動産会社のサイトで売地の検索もできます。
気軽に土地探しができるのが、インターネットで土地を探す場合の特徴ですが、デメリットもあると理解しておきましょう。
メリット |
デメリット |
- 無料で情報を閲覧できる
- 時間に縛られずに情報収集できる
- 遠方の土地も気軽に検索できる
- 気軽に調べられる
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- 最新の情報が掲載されているわけではない
- 掲載情報が既に売却済みの場合もある
- 掲載されていない情報もある
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インターネットを活用した土地探しは、気軽に日本全国の売地を検索できるので、気になっている地域の売地の相場を調べるのにもオススメです。
- 気になっている地域が複数あり、まずは相場を知りたい
- 不動産会社やハウスメーカーに依頼する前にイメージを固めたい
- 隙間時間を活用して土地探しがしたい
このように考えている方は、まずはインターネット検索を使って土地探しをはじめてみましょう。
2-2. 住みたいエリアを回って「売地」を探す
実際に現地を歩いて回りながら、「売地」になっている土地を自力で探すというのもひとつの方法です。
住みたいと考えているエリアを歩き回りながら、売地看板や整地された空き地などを見つけたら、不動産会社の連絡先が記載されていないか探してみましょう。問い合わせ先が記載されていれば、不動産会社に悩む必要はありません。
たとえ問い合わせ先が記載されていない場合でも、近隣の不動産会社に土地に関する情報を調べてもらうことも可能です。
現地を訪れることで、土地探しをしながら住みたい地域の周辺環境などを同時に体感することもできます。
メリット |
デメリット |
- 未公開物件が見つかる可能性がある
- どの不動産会社に依頼するか悩む必要がない
- 写真ではわからない周辺の雰囲気を感じられる
- 周辺施設への距離感を体験できる
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- 常に売地がある保証はない
- 販売価格がすぐにわかるわけではない
- 土地を探すために時間を割かなければいけない
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現地を訪れて土地を探す方法は、以下のような方にオススメです。
- 住みたい地域が決まっている
- 住みたい地域の下見をしながら土地を探したい
- しっかり時間を使って納得できる土地を探したい
すべて自力で土地探しをしようと考えると、想像以上の時間がかかってしまいます。効率よく土地探しを進めるためにも、他の土地探しの方法と同時進行しながら、現地の下見も兼ねて売地探しをしていきましょう。
2-3. 不動産会社で探す
土地を探すと考えた時に、真っ先に「不動産会社に依頼する」というイメージをする人は少なくありません。不動産会社では、中古戸建やマンションだけではなく土地の売買の仲介もおこなっています。
不動産会社は、その地域の土地や不動産のプロフェッショナルだと思われがちです。しかし、不動産会社の中には仲介業務のみを行っている会社もあります。まずは、土地や不動産を仲介する業者の特徴を理解して、どの不動産会社を利用するか考えてみるのが大切です。
メリット |
デメリット |
- 専門知識でサポートしてくれる
- 希望条件に合った土地を紹介してくれる
- 自分の時間を割かずに土地探しを進められる
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- 土地売買を得意としない業者もいる
- 業者によって取扱物件に差がある
- 業者によって販売価格が違う場合がある
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不動産会社に依頼して土地を探す方法は、以下のような方にオススメです。
- 最初から専門家に相談しながら土地探しをしたい
- 相見積もりをとってお得に土地を購入したい
- 土地探しにかける時間を短縮したい
デメリットでも紹介しているように、不動産会社は業者によって対応力や物件数に大きな差が出てしまう場合があります。
土地探しで後悔しないためにも、必ず複数の不動産会社に問い合わせをしてそれぞれを比較しながら土地探しを進めていくことが重要です。
2-4. ハウスメーカーや工務店に紹介してもらう
近年主流になりつつあるのが、ハウスメーカーや工務店に設計だけではなく土地探しのサポートも同時にしてもらう方法です。
ハウスメーカーや工務店に土地探しを依頼することで、不動産会社と建設会社を行き来しながら複数の手続きを同時進行する必要がなくなります。効率よく家づくり全体を進めていきたい場合は、土地売買も可能なハウスメーカーや工務店を検討してみましょう。
メリット |
デメリット |
- 資金計画を立てやすい
- 建築の希望条件に合った土地が探せる
- ローンを組みやすい
- 手続きを簡略化できる
- 仲介手数料を抑えられる場合がある
- 自社で分譲地を保有している場合がある
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- ハウスメーカーを変えると、土地が購入できなくなる場合がある
- 選べる土地の選択肢が少ない
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メリットをみてもわかるように、ハウスメーカーや工務店に土地探しを依頼すると後悔しない土地探しが可能です。ハウスメーカーや工務店に土地探しを依頼する方法は、以下のように考えている方にオススメの方法です。
- 建てたい家の条件に合った土地を探したい
- 専門家に相談しながら土地を探したい
- 土地購入費も住宅ローンで補填したい
- 複雑な手続きを一本化したい
- 設計プランを妥協したくない
土地探しをハウスメーカーや工務店に依頼したいと考えている場合は、土地探しを得意としている会社を選ぶようにしましょう。
ハウスメーカーと工務店のどちらを選ぶか迷ってしまった場合は、「工務店とハウスメーカーの違い|徹底比較しどっちがおすすめか解説」を参考にしてみてください。
3. 土地探しと建築会社探しは同時進行するのがオススメ
土地がない状態から注文住宅を建てようとすると、さまざまな手続きが同時進行してしまい、混乱してしまいます。土地なしの状態でも効率よく家づくりを進めるためには、土地探しと建築会社探しを同時進行していくのがオススメです。
土地探しと建築会社探しを同時に進めるべき理由は2つあります。
- 工事着工の期限までに慌てて建築会社を探す必要がないからオススメ
- 設計プランに適した土地を探しやすいからオススメ
どちらか片方だけを先行させてしまうと、建築会社選びに焦って失敗してしまったり、すでにでき上がった設計プランに適した土地が見つからなかったりする可能性が考えられるのです。
慌てずに家づくりを進めていくためにも、土地探しと建築会社探しは同時進行していきましょう。
3-1. 期限に迫られて慌てて建築会社選びをする必要がない
土地探しと建築会社選びを同時進行すると、「◯ヶ月以内に建築会社を確定しなければいけない」と焦ってしまい建築会社選びで失敗してしまうようなこともありません。
土地探しだけを先行していると、土地を購入してから建築会社と契約するまでの期間に制限ができてしまう場合があります。
【土地選びを先行したことで建築会社選びに焦るケース】
- つなぎ融資を使いたいので、土地契約から工事請負契約まで1ヶ月ほどしか猶予がない
- 住宅ローンで土地購入費を補填したいので、指定された期間内に建築会社を決める必要がある
- 住宅ローン控除を利用したいので、土地を購入してから2年以内に家を建てなければいけない
土地購入費をつなぎ融資や住宅ローンで補填しようと考えている場合、正式なローン融資を受けるためには「土地の契約書」だけではなく「設計プラン」や「工事請負契約書」などが必要です。
どのケースにおいても、決められた期間内に土地の契約から建築会社との契約までを済ませなければいけません。そのため、建築会社選びで焦ってしまう人が多いのです。
焦って建築会社を選んでしまうと「違う建築会社に依頼するべきだった」と後悔してしまうかもしれません。焦って建築会社を選んでしまい後悔しないためにも、土地探しと同時に建築会社選びを進めていくのがオススメです。
3-2. 設計プランに適した土地を探しやすい
土地探しと建築会社を同時に進めることで、建てたい注文住宅の設計プランに適した土地を探しやすくなります。
土地を決めずに設計プランだけを先行してしまうと、建設地の状態を考えずに理想だけを詰め込んだ設計プランを決めてしまいがちです。
【設計プランに適した土地探しが難航するケース】
- 地下室を作りたいが、住みたいエリアに適した土地がない
- 広い駐車場を作りたいが、道路に接している面が狭いので難しい
- 大きな窓で採光を取りたいが、住みたいエリアには隣の住宅との距離が近く採光が取れない土地しかない
- 3階建ての家を建てたいが、適した土地が見つからない
土地の周辺環境や状態を把握せずに設計プランだけを進めてしまうと、土地を探す際の満たしたい条件が厳しくなってしまいます。どんなに土地探しを続けても「希望条件にあった土地が見つからない」という状態に陥ってしまう可能性もあるのです。
効率よく建てたい家に適した土地を探すためには、土地探しと建築会社選びを同時に進めて、土地の状態を確認しながら現実的な設計プランを固めていきましょう。
4. 注文住宅の土地探しで必ず確認したいチェックリスト
実際にさまざまな方法で土地探しをはじめてみると、どのようなポイントを意識して土地を選ぶべきなのか迷ってしまうかもしれません。
気になる土地が見つかったら、1-1.土地の希望条件を決めるで事前に考えておいた大まかな条件から、さらに具体的な土地の条件について確認していきましょう。
土地の状態や環境を見極めやすくするために、7つの項目ごとにチェックしておきたいポイントを紹介していきます。
4-1. ①土地の形や方角
土地の形や方角は、設計プランを考える上で最も重要なポイントのひとつです。その土地でどのような暮らし方をしたいのか、土地を購入する上で何を優先とするのかが明確になっていればどの方角を選ぶべきなのかを導きだせます。
土地の形や方角 |
四角形や長方形:自由に設計できる |
L字型や三角形:設計に制限が出る |
南向き:常に日当たりがいい |
東向き・西向き:朝日と夕陽が差し込む |
北向き:近隣の立地次第で日当たりが大きく変わる |
同じ坪数で販売されている土地でも、土地の形によって建物を建築できる有効面積(建ぺい率)や建築に使える空間の広さ(容積率)は変わります。
もちろん、正方形や長方形などの形の方が設計プランも考えやすいでしょう。しかし変形している土地の場合は、建てられる注文住宅にも制限がかかってしまいます。
購入する土地の形や方角は、自由に変更できない要素だからこそ、しっかりと吟味して選ぶ必要があると覚えておきましょう。
4-2. ②面積
購入したいと考えている土地の面積が、建てたい注文住宅の大きさに適しているのかも重要なポイントです。
住宅金融支援機構がおこなった2022年度フラット35利用者調査を参考にすると、以下のような全国平均値がわかります。
2022年度フラット35 注文住宅ローン利用者の統計 |
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土地面積の全国平均 |
住宅面積の全国平均 |
建物のみの場合(すでに土地がある) |
321.7㎡(97坪) |
122.8㎡(37坪) |
土地と建物を同時に購入した場合 |
237.0㎡(72坪) |
111.5㎡(34坪) |
出典:2022年度フラット35利用者調査
この調査結果から、50坪以上の広さがある土地であれば平均的な大きさの家を建設できることがわかります。そして、59坪の土地に対して111.5㎡(34坪)ほどが住宅面積の平均値です。
近年では、この平均よりも土地の面積が狭い15坪〜20坪ほどの「狭小地」と呼ばれる狭い土地も増えてきました。
面積 |
50坪以上の土地:大人数で住む家を建てられる |
50坪の土地:平均的な大きさの家を建てられる |
15坪〜20坪の土地:狭小住宅しか建てられない |
一般的な大きさの土地と狭小地では、設計できる注文住宅のプランも大きく変わります。土地を購入する際には、土地の面積に合わせて実際に建築できる有効面積(建ぺい率)や建築に使える空間の広さ(容積率)も調べておきましょう。
4-3. ③隣の土地
購入しようとしている隣の土地に既に住宅が建っている場合は、隣の住宅との距離の確認も必要です。
隣地の土地 |
隣の住宅の高さによって日陰ができていないか |
建設予定の住宅から隣の住宅までどれくらいの距離があるのか |
隣の土地からの越境物がないか |
隣の住宅との距離が近すぎると、注文住宅完成後に不満を感じてしまったり、近隣住人とのトラブルが発生してしまったりする可能性があります。
このような近隣トラブルを避けるためにも、隣の土地の状況や建設予定の住宅と隣の住宅との距離を確認しておきましょう。
4-4. ④土地の状態
購入しようとしている土地が、どのような状態なのか見極めることも忘れてはいけません。図面上で見る情報や素人の知識だけでは判断できない場合も多いので、不動産会社やハウスメーカーなど、専門知識を持った方にサポートしてもらいながら土地の状態についてチェックしておきましょう。
状態 |
大雨が降った際に周辺が水没しないかどうか |
水はけが悪い土地ではないか |
時間帯や季節によって日当たりはどのように変わるのか |
風通しの悪い立地ではないか |
自然災害のリスクはどれくらいあるのか(ハザードマップを確認) |
土地に対してどのような状態を求めるのかは、それぞれで変わってきます。土地の状態によっては追加工事が必要になる場合があるので、しっかりと確認しておかなければいけません。
4-5. ⑤周辺環境
購入する土地の周辺環境を確認しておくと、将来その土地で暮らした時に「こんなはずじゃなかった」という後悔を防げます。
どのような周辺環境が必要なのかを見極めるためにも、自分の将来設計をしっかりとしておきましょう。
- 病院や公共施設に通いやすい環境
- 子供が暮らしやすい環境
- 通勤しやすい環境
- 安心して暮らせる環境
どのような環境を求めているのかがわかれば、具体的に満たしたい条件も導き出せるでしょう。
周辺環境 |
公共施設までの距離( ) |
近隣にある病院の数( )・病院までの距離( ) |
近隣にある学校の数( )・学校までの距離( ) |
子どもが遊べる公園の数( ) |
交番までの距離( ) |
一度土地を購入して注文住宅を建ててしまうと、その場所から簡単に離れることはできません。将来後悔しないためにも、購入しようとしている土地の周辺環境が自分の希望条件に合っているのかを照らし合わせてみましょう。
4-6. ⑥交通
注文住宅を建てる土地までの交通の便や道路幅を確認しておくのもオススメです。日々の生活の中で、交通の便で不満を感じてしまうと家づくり自体に後悔してしまう可能性もあります。
住みはじめてから後悔しないためにも、バス停や駅までの距離も確認しておきましょう。
交通 |
最寄り駅までの距離( )徒歩( 分 ) |
最寄りのバス停( )徒歩( 分 ) |
道路幅4m以下:道路の中心線から2mの部分までセットバックする必要がある |
道路幅4m以上6m以下:狭い道路 |
道路幅6m以上:広い道路 |
また、購入する土地が面している道路の幅も確認しておく必要があります。道路幅によって、車の運転のしやすさや交通量も変わってくるのです。
- 道路幅が4m以下:道路の中心線から2mの部分までセットバックする必要がある
- 道路幅が4m以上6m以下:狭い道路で、駐車が難しくなるが土地の価格が安い場合が多い
- 道路幅が6m以上:広い道路で、車のサイズを気にする必要がないが土地の価格が比較的高い
土地単体の状態だけではなく、その土地に面している道路や交通の便について確認してより満足度の高い土地を探せるようにしましょう。
4-7. ⑦土地の用途
土地を購入するためには、建築基準法によって定められた土地の用途について理解してしておかなければいけません。
土地の用途は、住宅系・商業系・工業系の3種類にわかれます。注文住宅を建てるためには、住宅が建てられる用途の土地を選ばなければいけません。
土地の用途 |
条件 |
第一種低層住居専用地域 |
- 戸建て・小規模な賃貸住宅・事務所などの兼用住宅を建てられる
- 10mもしくは12mの高さ制限
- 容積制限あり
- 戸建が多い住宅街エリア
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第二種低層住居専用地域 |
- 第一種低層住居専用地域の条件と同じ
- 150㎡までの店舗も建てられる
- 店舗の場合は2階以下
- 道路幅が広い場合が多い
- 利便性の高いエリア
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第一種中高層住居専用地域 |
- 4階以上のマンションを建てられる
- 500㎡までの店舗や飲食店も建てられる
- 容積制限の緩和
- 中規模のマンションが多いエリア
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第二種中高層住居専用地域 |
- 第一種中高層住居専用地域の条件と同じ
- 1,500㎡で2階以下であれば条件付きで店舗や飲食店も可能
- マンションやアパート、戸建てや飲食店が多いエリア
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第一種住居地域 |
- 住宅やマンション、3,000㎡までの店舗や事務所を建てられる
- 中規模マンションや戸建、商業施設や工場が多いエリア
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第二種住居地域 |
- 住居エリアだが、大規模な店舗や施設が建てられる
- パチンコ店やカラオケ店も建てられる賑やかなエリア
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準住居地域 |
- 主要道路に沿って住居を建てられるエリア
- 戸建よりも、ファミリーレストランやパチンコ店など車で立ち寄りやすい建物が多いエリア
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近隣商業地域 |
- 銀行・映画館・飲食店・百貨店が集まるエリア
- 住宅や小規模の工場が建てられる
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準工業地域 |
- 工場やサービス施設が集まるエリア
- 危険性や環境に影響する大きい工場以外は建てられる
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工業地域 |
- どんな工場でも建てられるエリア
- 学校・病院・ホテルなどは建てられない
- 住宅やお店も建てられる
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土地の用途を調べることで、周辺エリアがどのような環境なのかを調べることも可能です。もちろん。土地の用途によって、周辺の土地相場も大きく変わります。
土地の用途は、はじめて土地を購入しようとしている人には馴染みのない言葉だと思います。しかし、土地の用途について知識があるだけで、損をせずに土地を購入できるのでしっかりと確認しておきましょう。
後悔せずに注文住宅を建てる土地を探すためのチェックポイントを紹介してきました。より手軽にその土地について調べるために、チェックシートを用意したので、ぜひ印刷して使ってみてください。
土地探しチェックシート(PDF)を印刷する
5. 注文住宅の土地探しで後悔しないための3つの注意点
注文住宅の土地探しをするための方法や確認するべき項目がわかったので、すぐに土地探しをはじめようと考えているかと思います。しかし、その前に後悔せずに土地探しをするための注意点を把握しておきましょう。
- 必ず一度は現地を訪れる
- 現在の状態だけではなく将来性も考える
- 条件を満たさない土地でも設計で補える
数ヶ月もかかる土地探しだからこそ、より効率よく後悔しない方法で土地を探していかなければいけません。
「本当にこの土地でいいのだろうか?」と悩んでしまう時間を短くするためにも、どのような点に注意して土地探しを進めていくべきなのかを紹介します。
5-1. 土地探しは必ず一度は現地に足を運ぶ
ハウスメーカーや不動産会社に土地を探してもらう場合でも、必ず一度は現地を訪れて自分の目で土地の状態を確認しましょう。
担当者から聞く話や図面上では魅力的な土地でも、実際に訪れた時に感じる感覚は違います。たとえば周辺の雰囲気であったり、風に乗ってくる香りや環境などは現地にいかなければ感じられません。
「なんとなく嫌な感じがする」「なんとなくこの場所が好き」というような直感を大切にする方もいるでしょう。焦って土地を購入しても、実際に住んでから満足できなければ意味がありません。
将来的に長い年月を過ごす場所になるからこそ、後悔しないためにも必ず現地を訪れてから土地の売買契約を結ぶようにしましょう。
5-2. 周辺エリアの将来性も考える
購入しようとしている土地の現状だけを調べるのではなく、周辺地域が今後どのように発展していくのかを考えておくのも大切です。
たとえば、以下のような可能性がないのか調べてみましょう。
- 近隣に大型ショッピングセンターを建てる計画がある
- 駅を改修して、駅周辺が発展する可能性がある
- 近隣の商店街がシャッター商店街になりつつある
土地周辺の将来性を考えた時に、今後開発がおこなわれて発展していく可能性がある場合は、その土地の価格も上昇すると予想できます。
しかし、反対に過疎化が進んでいきそうな土地の場合は、将来土地を手放そうと思った時に損をしてしまうかもしれません。
自分の世代では購入した土地を手放すつもりはなくても、子供たちが将来土地を売却する可能性もあります。将来のことを考えたうえで、将来性が期待できる土地を選ぶのが理想的です。
5-3. 土地の条件が合わなくても設計で補える
土地探しをしていても、すべての条件を満たせる土地に出会える可能性はほぼありません。しかし、その土地に合わせて設計プランで満たしたい条件を補えるので安心してください。
まずは、1-1.土地の希望条件を決めるでも伝えたように、100点満点の土地ではなく、妥協できる条件を作ったうえで70点〜80点ほどの条件を満たせる土地を探しましょう。
土地が見つかったら「その土地で満たしたかったけれど妥協した点」をしっかりと建築会社に伝えて設計段階で対処できる方法がないか探していくのです。
【設計プランで対処できる例】
- 広い家を建てたいが土地が狭い➡︎大開口や大きな窓を採用して開放感を演出
- 隣の家と距離が近くて日陰になる➡︎屋根や高い位置に窓を設けて採光をとる
- 大家族だが狭小地しか購入できない➡︎鉄骨造で狭小地でも3階建てを建てる
このように、希望条件を満たしていない土地でも設計プラン次第で満足できる家づくりができます。
理想の土地が見つからないことを理由に家づくりを先送りにしてしまうのではなく、理想の暮らしを実現するためには土地探しと設計プランの両方からアプローチできると覚えておきましょう。
6. 土地探しはプロにアドバイスしてもらうのが一番
注文住宅を建てるための土地を探すためには、さまざまな知識や確認すべき項目があると紹介してきました。この記事では、土地探しをスムーズに進めるための方法とコツを紹介していますが、専門知識がないと判断が難しいケースもあります。
より安心して土地探しを進めていくためには、自分の力だけで土地探しをするのではなく、専門知識と実績を兼ね備えているプロからアドバイスをもらうのがオススメです。
不動産会社は土地売買に関する専門家ですが、建築に関する専門家ではありません。もちろん、ハウスメーカーや工務店に土地探しもあわせて依頼する場合は、建築知識を活かして土地探しをしてくれます。
不動産会社など他の方法で土地探しをする場合も、すでに注文住宅を建てることが確定しているのであれば、建築に関する知識を持った担当者に土地探しのアドバイスをもらうようにしましょう。
7. まとめ
この記事では、注文住宅を建てるための土地探しの方法やコツ、注意点などを紹介してきました。
この記事で学んだこと |
- 土地探しをはじめる前に希望条件や予算を明確にしておく
- 土地探しは、インターネット検索・現地・不動産会社・建築会社などを活用して探す
- 土地探しと建築会社探しを同時進行すると効率がいい
- 土地探しのチェックシートを使って、その土地の状態を確認する
- 理想の土地がなくても設計で補える
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理想の家づくりをしたいからこそ、注文住宅を建てるための土地選びに固執してしまいがちです。土地選びでつまずいてしまうと、注文住宅が完成するのが遅れてしまう場合や、満足できる土地選びができない場合も考えられます。
効率よく希望にあった土地探しを進めていくためにも、この記事で紹介してきた土地探しの準備や探し方、そして注意点を意識しながら土地探しをしてみてください。
土地探しチェックシート(PDF)を印刷する